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採用マーケティングとは?中小企業が「見られる→響く→応募→定...

採用マーケティングとは?中小企業が「見られる→響く→応募→定着」の数字で進める始め方

こんにちは!株式会社レガロニコ代表取締役の米森です。

「採用マーケティングが大事だと聞くけれど、うちのような小さな会社で何をすればいいのか分からない」。そう感じている方もいるのではないでしょうか。

採用マーケティングは、大きな会社だけのものではありません。求人を出して待つのではなく、誰に、何を、どこで伝えるかを決め、どこで止まっているかを数字で確かめながら直していく考え方です。人事の専任担当がいない会社ほど、限られた時間とお金をどこに使うかを決めるのに役立ちます。

先に結論をお伝えします。中小企業の採用マーケティングは、次の3つから始めます。

  • 採用を「見られる」「響く」「応募」「定着」の4つの段階に分ける

  • 段階ごとの数字を月に1回見て、止まっている段階を1つ選ぶ

  • その段階に効く手を1つだけ打ち、打つ前の30日と打ったあとの30日の数字を比べる(90日で1回まわす)

この記事では、採用マーケティングの基本を整理したうえで、レガロニコがIndeedの管理画面から集めてきた実際の数字と、支援先で出た応募・採用の結果をもとに、段階ごとの見方と直し方、小さく始める90日の進め方、よくある失敗までをお伝えします。

まず今日できることは、次の3つです。詳しいやり方は10章で紹介しています。

  • 求人媒体の管理画面から、求人ごとの表示回数・クリック数・応募開始数・応募完了数を書き写す(期間は先月1か月分。表示回数が出ない媒体なら、応募数だけでも)

  • 自社名で検索し、求職者に見えるものを確かめる

  • スマホで自社の求人を開き、応募の画面まで進んでみる(送信はしない)

1. 採用マーケティングとは

採用マーケティングとは、商品を売るときのマーケティングの考え方を、採用に当てはめることです。ひと言でいえば、「採りたい人に見つけてもらい、選んでもらい、入社後も続けてもらうまでを、数字で確かめながら設計すること」です。「誰に(採りたい人)」「何を(自社で働く魅力と条件)」「どこで(求人媒体や採用ページ)」伝えるかを決め、反応を見て直していきます。

「求人を出して待つ」採用との違い

これまでの採用は、求人媒体に原稿を出し、応募を待つ形が中心でした。採用マーケティングでは、求人を出したあとが本番です。どれだけ見られたか、どれだけ開かれたか、どれだけ応募につながったか、入社した人が続いているかを見て、止まっている所を直します。

採用ブランディング・採用広報との違い

似た言葉がいくつかありますが、別々の取り組みを増やす必要はありません。役割で整理すると、次のようになります。

言葉

主な役割

中小企業での位置づけ

採用マーケティング

採りたい人に届けて、応募・入社・定着までをつなげ、数字で直す

全体の設計図。まずここから

採用ブランディング

「この会社で働きたい」と思ってもらえる印象を、時間をかけて育てる

採用マーケティングで見えた自社の魅力を育てる段階

採用広報

職場や社員の様子を発信して、会社への理解を深めてもらう

採用ページやSNSで、続けられる範囲で行う手段

求人広告

募集している仕事を、探している人に届ける

「見られる」段階のいちばんの土台

中小企業がまず取り組むなら、数字で月ごとに確かめられる採用マーケティングから始め、そこで見えてきた自社の魅力を採用ブランディングに育てていく順番が進めやすいと考えています。

届けたい相手は「今すぐ探している人」だけではない

採用マーケティングでは、今まさに仕事を探している人だけでなく、次のような人も相手として考えます。

  • 今すぐ仕事を探している人(求人サイトやハローワークで探している人)

  • まだ本格的には探していないが、良い会社があれば考えたい人

  • 過去に応募してくれた人や、内定を辞退した人

  • 以前に働いていた元社員

  • 今いる社員の知り合い

とはいえ、人手が限られる中小企業が、最初から全員に向けて発信するのは現実的ではありません。まずは今すぐ探している人に確実に見つけてもらい、選んでもらうところを固め、そのうえで社員の紹介や採用ページの発信を広げていく順番をおすすめします。

2. 中小企業に採用マーケティングが必要な理由

求職者は、いくつもの会社を比べて選んでいる

厚生労働省の発表では、2026年8月の有効求人倍率(季節調整値。仕事を探している人1人あたりの求人の数)は1.18倍、新規求人倍率は2.06倍でした。正社員に限った有効求人倍率は1.00倍で、職種や地域によっても差があります(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」、2026年10月2日公表)。全体では、仕事を探している人より求人のほうが多い状態です。求職者はいくつもの求人を見比べて応募先を選ぶことが多いと考えられるので、条件を載せて待つだけでは、比べられたときに選ばれにくくなります。

人も時間もお金も限られているから

人事の専任担当がいない会社では、社長や現場の責任者が、本業の合間に採用を担当していることもあります。その状態で「とりあえず媒体を増やす」「広告費を上げる」を繰り返すと、どこに効いたのか分からないまま、時間とお金だけが減っていきがちです。数字で止まっている段階が分かれば、打つ手を1つに絞れます。

メリットと、先に知っておきたい負担

採用マーケティングに取り組むと、次のような良いことがあります。

  • 止まっている段階が分かるので、打つ手とお金を絞れる

  • 採りたい人に向けて書くので、合わない人の応募や入社後のずれを減らしやすくなる

  • 何を直して数字がどう動いたかが記録に残り、次の募集に使える

一方で、負担もあります。数字を集めて記録する手間がかかること、1回直しただけでは結果がはっきりしないことがあること、応募が少ない求人では数字だけで判断しにくいことです。だからこそ、この記事では「段階を1つに絞り、1つずつ直す」小さな進め方をおすすめしています。

求人によって、数字は大きく違う

レガロニコでは、自社と支援先の企業のIndeedの求人を、管理画面の数字で同じ方法で集計しています(2026年1月1日〜7月7日の累計)。クリック率(求人が表示された回数のうち、開かれた割合)を求人ごとに比べると、最も高い求人(造園の作業スタッフ)は22.4%、最も低い求人(営業職)は3.8%で、6倍近い開きがありました。

会社や予算、地域も違う求人どうしの比較ですが、今のところ、未経験から始められる、間口の広い職種が強く、専門職や営業職、資格が必要な職種は苦戦しやすい傾向が見えています。同じ「クリック率5%」でも、職種によって良いとも悪いとも言えます。だからこそ、他社の平均と比べるより、自社の前の月と比べることが大切です。

3. 採用マーケティングの考え方:4つの段階で見る

採用の4つの段階(見られる・響く・応募・定着)と、それぞれで見る数字(表示回数、クリック率、開いた人の応募率、入社90日後も続いている人数)
  • 見られる:求人が、採りたい人の目に入っているか

  • 響く:求人を見た人が、開いて読みたいと思うか

  • 応募:読んだ人が、応募まで進めるか(面接や内定の承諾まで含めて考えます)

  • 定着:入社した人が、聞いていた話と同じだと感じて働き続けられるか

レガロニコの採用支援でも、「見られない」「刺さらない」から「入社しても辞めてしまう」までの段階に分けて課題を見ています。この記事では、それを数字で確かめやすい4つにまとめています。

応募が少ないとき、原因は1つとは限りません。段階に分けると、そもそも見られていないのか、見られているのに開かれないのか、開かれているのに応募に進まないのかを、分けて考えられます。

よく使われる考え方の型と、4つの段階の関係

採用マーケティングの解説では、マーケティングで使われる「考え方の型(フレームワーク)」がよく紹介されます。名前を覚えることより、どの段階の何を整理する道具なのかを知っておくと使いやすくなります。

考え方の型

整理すること

主に役立つ段階

ペルソナ

採りたい人を1人の人物像として具体的にする

響く・応募

キャンディデイトジャーニー

求職者が会社を知ってから、比べて、応募し、入社するまでの流れ

4つの段階すべて

採用ファネル

段階ごとに何人残っているかを数字で見る

4つの段階すべて

3C分析

求職者・自社・採用で比べられる他社の3つから、自社の伝え方を考える

響く

AIDMA

注意→関心→欲求→記憶→行動という、人が動くまでの心の流れ

見られる・響く

EVP(従業員価値提案)

この会社で働くと得られる価値を言葉にする

響く・定着

SWOT分析

自社の強み・弱みと、採用市場の追い風・向かい風を並べる

準備段階

人事担当のいない中小企業なら、まずはペルソナ、キャンディデイトジャーニー、採用ファネルの3つで十分です。ペルソナで「誰に」を決め、キャンディデイトジャーニーで「どこで、何を確かめるか」を想像し、採用ファネルで「どこで止まっているか」を数字で見ます。この記事の4つの段階は、採用ファネルを中小企業向けに簡単にしたものです。

4. 段階ごとの数字と、その読み方

見るのは4つの数字

  • 表示回数(見られる):求人が検索結果などに表示された回数

  • クリック率(響く):表示のうち、求人が開かれた割合

  • 開いた人の応募率(応募):求人が開かれた回数(クリック数)のうち、応募完了になった割合。内訳として、応募開始率(クリックから応募開始へ進んだ割合)と完了率(応募開始から応募完了へ進んだ割合)も見ます

  • 入社90日後も続いている人数(定着):入社した人のうち、入社90日後も続いている人。人数が少ないうちは率にせず、人数で記録します

Indeedでは、管理画面で表示回数、クリック数、応募開始数、応募完了数を確かめられます。期間は「先月1日〜末日」のように1か月で区切って取り、記録表に1行ずつ書きます。この記事の実例は累計の数字ですが、自社では月ごとの数字どうしを比べてください。応募のあとは、面接数と採用数(内定の承諾数)も社内で記録します。定着は媒体の数字には出ないので、社内で1人ずつ記録します。

レガロニコ自社の求人の数字

レガロニコ自社のIndeedの求人キャンペーン(Indeedで求人広告を出すときの単位)31本すべての合計(2026年1月1日〜7月7日の累計)は次のとおりでした。自社では、職種ごとに求人を分けて出しています。

  • 表示:93,830回

  • クリック:9,406回(クリック率10.0%)

  • 応募開始:524件(クリックのうち5.6%)

  • 応募完了:279件(応募開始のうち53.2%、開いた人の応募率3.0%)

レガロニコ自社のIndeedキャンペーン31本の合計(2026年1月1日〜7月7日)。表示93,830回、クリック9,406回(10.0%)、応募開始524件(5.6%)、応募完了279件(53.2%)

応募を始めた件数のうち、応募完了まで記録されたのは約半分(53.2%)でした。残りがどこで止まったのかはこの数字だけでは分かりませんが、応募しようとしてくれたのに、途中で止まった人がいる可能性があります。

数字を読むときの注意

  • これはIndeedの数字で、職種も地域もばらばらです。目安にはなりますが、合格ラインではありません。

  • 表示や応募が少ない求人は、1件で率が大きく動きます。

  • 比べるなら、同じ求人の前の月や、同じ職種の別の求人です。

レガロニコでも、データが少ない間は平均をうのみにせず、明らかな弱点だけを直し、小さな差は次の集計を待つことにしています。Indeedでの具体的な見分け方は、Indeedで応募が来ない原因と直し方で紹介しています。

5. 「見られる」を増やす:媒体・採用ページ・SNSの役割を分ける

まず、求職者が探している場所に出す

見られる段階の土台は、求職者が仕事を探しに来る場所に求人を出すことです。Indeedなどの求人サイトや、ハローワークがその代表です。ハローワークは無料で掲載でき、求人票の書き方次第で求職者の目への留まり方が変わります(ハローワーク求人票の書き方)。

人を集める手段の一覧

主な手段を、効く段階と手間で並べると次のようになります。全部に取り組む必要はありません。今止まっている段階に効くものから選びます。

手段

主に効く段階

手間

向いている場合

求人サイト(Indeedなど)の無料掲載

見られる

小さい

まず全ての会社が出しておきたい土台

求人サイトの有料掲載

見られる

中くらい

表示回数が足りないとき。予算と期間を決めて使う

ハローワーク

見られる

小さい

地元で探している人に届けたいとき

採用ページ(自社サイト)

響く・応募

中くらい

求人を見た人が、応募前に会社を確かめに来るとき

SNS

響く

大きい(続ける手間)

職場の普段の様子を見せたいとき

社員からの紹介

見られる・定着

小さい〜中くらい

社員が自社をすすめられる状態のとき

会社から直接声をかける(スカウト)

見られる

大きい

専門職など、待っていても応募が来にくい職種

採用ページは「確かめに来る場所」

レガロニコのお客様インタビューで、ホームページを新しくした株式会社WIN様の事例を紹介しています。リニューアル前は条件面を理由とした応募が多かったのが、リニューアル後は会社の思いや魅力、職場の雰囲気に共感して応募する人が増えました。お客様からは「面接の前から『私はここで働きたい』という気持ちを持って来られる方が多い」という言葉もいただいています(株式会社WIN様のインタビュー)。

1社の事例ですが、採用ページを含むホームページは、応募の前に会社を確かめに来る人の気持ちを後押しする場所だと考えています。採用ページを外部に頼むときの選び方は、採用サイト制作会社の選び方で紹介しています。

自社名で検索して、求職者に見えるものを確かめる

求人を見て興味を持った人は、会社名で検索することがあります。一度、求職者のつもりで自社名を検索してみてください。採用ページは出てくるか、古い求人や違う条件が残っていないか、地図の口コミなどに何が書かれているかを確かめます。求人に書いたことと、検索して見えることが食い違っていると、応募をためらう理由になります。

SNSは「普段の様子」を見せる場所

SNSは、求人では伝えきれない普段の職場の様子を見せる場所です。投稿を続ける手間がかかるため、まず求人と採用ページを整え、続けられる範囲で始めるのが現実的です。

表示回数が少ないときに見る所

  • 職種名が、求職者が検索する言葉になっているか(社内の呼び方のままになっていないか)

  • 勤務地や雇用形態の設定が正しいか

  • 有料掲載の場合、予算と掲載期間が足りているか

6. 「響く」を増やす:誰に向けて書くかを決める

採りたい人を1人に絞って書く

求人を「誰にでも当てはまる言葉」で書くと、誰の目にも止まりにくくなることがあります。採りたい人を1人に絞り、年齢層、前の仕事、今の悩み、仕事選びで気にすることを書き出します。この人物像をペルソナ(求人を届けたい相手の具体的な人物像)と呼びます。レガロニコ自身の求人でも、「28歳・営業やカスタマーサポートの経験がある・熱量で動きたい人」のように人物像を決めてから書いています。

なお、人物像の年齢は、求人の言葉を選ぶための想定です。求人に年齢の条件を書くことは、原則としてできません(労働施策総合推進法)。

一覧で目に入る情報を整える

求職者が最初に見るのは、検索結果の一覧に出る職種名、給与、勤務地、最初の数行です。ここで「自分に関係がある仕事だ」と分かると、開いてもらいやすくなります。

ある造園会社で、同じ予算で出していた2本のIndeed求人を比べたところ、成果が良かった方は、給与を月給で表示していました。原因は1つに決められませんが、私たちはまず、もう片方も月給表示にそろえることを提案しました(実施後の結果はまだ確かめていません)。月給で表示するのは、実際の給与形態が月給の場合です。時給や日給の仕事なら、その形態のまま、月額の目安を添えて比べやすくします。

社員の声から、伝える内容を決める

自社の魅力は、社長や採用担当が思うものと、社員が実際に入社を決めた理由とでずれていることがあります。レガロニコの求人解決AIでも、求人票を書く前に、経営者への深掘りインタビューと、全社員へのアンケート、社員へのインタビューを行っています。

自社で行うなら、社員に次の3つを聞くだけでも材料が集まります。

  • 応募する前に、迷ったことや不安だったこと

  • この会社に決めた理由

  • 実際に働いてみて、良かったことと、聞いていた話と違ったこと

1つ目の答えは「応募」の段階で答えるべき不安に、2つ目は「響く」の段階で伝える魅力に、3つ目は「定着」のための正直な説明になります。「雰囲気がいい」のような答えが出たら、どんな場面でそう感じたのかまで聞くと、求人に書ける具体的な言葉になります。

中小企業だからこそ伝えられること

大手と同じ土俵で給与や知名度を比べられると、中小企業は不利に見えがちです。ただ、社長や先輩との距離が近い、任される仕事の範囲が広い、地元で通いやすいなど、規模が小さいからこそ伝えられることもあります。大切なのは、それが自社の事実であることと、採りたい人がそれを求めていることです。社員の声で確かめたことだけを書きます。

クリック率が低いときに見る所

  • 職種名だけで、どんな仕事か分かるか

  • 給与の表示の仕方が、他社と比べやすいか

  • 最初の数行に、採りたい人が気にすることが書かれているか

7. 「応募」につなげる:不安に答え、手間を減らし、早く返す

求職者の不安に正直に答える

レガロニコでは、社内で想定する求職者の立場になって求人を読み直し、引っかかる所を洗い出す工程を設けています。たとえば「月給25万円〜(固定残業20時間分を含む)」という書き方には、「基本給が分からない、少し盛られている感じがする」という引っかかりが挙がりました。こうした引っかかりは、求人を開いたあとに応募を見送る理由になる可能性があります。

消し方は、隠さずに分けて書くことです。基本給、固定残業代の金額と時間、超えた分は別に支払うことを分けて書くと、求職者が安心して比べられます。固定残業代を含めて給与を示す場合、これらを明示することは、職業安定法にもとづく指針でも求められています。詳しくは固定残業代の求人票の書き方で紹介しています。

条件で他社に負けている所があっても、隠すのは逆効果です。給与だけでなく、勤務時間、休日、仕事を覚えるまでの支え方を一緒に示し、その条件でどんな働き方ができるかを伝えます。伝え方で解ける誤解と、条件そのものを見直すべき問題は、分けて考えます。

応募の手間を減らす

4章で見たとおり、応募開始のうち完了まで記録されたのは約半分でした。理由は数字からは分かりません。入力する項目が多い、書類の提出を求められる、スマホで見づらいといった手間が影響している可能性があります。自社で設定できる範囲で、応募の段階で求める情報に、面接で聞けば足りるものまで入っていないか見直します。

一度、自分のスマホで応募してみる

いちばん確かな点検は、求職者と同じようにスマホで自社の求人を探し、応募の画面まで進んでみることです(送信まではしません。試しの応募が数字に入ってしまうためです)。開いてから応募ボタンまでの分かりやすさ、入力する項目の数、途中で迷う所、かかった時間を書き留めます。社内の別の人にも試してもらうと、自分では気づかない引っかかりが見つかります。

応募のあとの連絡は早く

応募した人は、返事を待ちながら、ほかの会社にも応募していることがあります。連絡が遅れるほど、面接に進んでもらえなくなるおそれがあります。応募があったら誰が、いつまでに連絡するかを決めておきます。合わなかった人にも、応募してくれた時間を大切にして、早く丁寧に返します。それが会社の印象を守ることにもつながります。

面接までの流れを短くする

連絡が早くても、面接日が何度もやり取りしないと決まらなければ、その間に気持ちが離れることがあります。最初の連絡で面接の候補日を2〜3つ示す、面接の場所や持ち物、所要時間を先に伝える、オンラインでの面談を選べるようにするなど、応募から面接までのやり取りを減らします。

開いた人の応募率が低いときに見る所

  • 求人の本文で、仕事内容、条件、働き方が分かるか

  • 応募の前に感じそうな不安(未経験でも大丈夫か、残業はどのくらいか)に答えているか

  • 応募フォームの入力項目を、自社で設定できる範囲で見直したか

応募が来ない求人票の直し方は、応募が来ない求人票の改善でも紹介しています。

8. 「定着」まで見る

採用マーケティングのゴールは、応募の数ではなく、入社した人が活躍して続けてくれることです。入社後に「聞いていた話と違う」と感じて辞めてしまえば、本人にとってもつらく、求人にかけた時間とお金も取り戻せません。

入社から30日、60日、90日の節目に、「入社前に聞いていた話と違ったことはあるか」を聞き、その答えを求人と面接に戻します。定着の数字は人数が少ないと率にしにくいので、1人ひとりの記録を積み重ねます。入社後の受け入れの具体的な進め方は、早期離職を防ぐにはで紹介しています。

定着の記録表

定着は、人数が少ないうちは率にせず、1人ずつの記録で見ます。次のような表を作っておくと、聞いた内容を求人に戻す作業が続けやすくなります。

入社日

職種

30日の声

60日の声

90日の声

求人や面接に戻したこと

(記入例)4月1日

事務スタッフ

電話対応が想像より多い

慣れてきた

続けている

求人に電話対応の割合を書き足した

記入例は書き方の説明のためのもので、実際の社員の声ではありません。

9. 中小企業の採用マーケティング事例:Indeedの実数と支援の結果

ここからは、実際の数字で、段階ごとの見方を確かめていきます。どれも限られた会社・求人の結果で、ほかの会社にそのまま当てはまるものではありません。数字の大きさより、「どの段階を見て、何に気づいたか」を参考にしてください。

自社の求人:同じ求人を3回計測して見えたこと

レガロニコ自社のコミュニティ運営の求人を、3回に分けて計測した結果です。5月29日と6月6日は、計測の方法を整える前の一部のデータです。7月7日は、方法をそろえたうえでの1月1日からの累計です。条件がそろっていないので、傾向の参考としてご覧ください。

計測日

表示回数

クリック率

応募完了

2026年5月29日

357回

約15%

2件

2026年6月6日

1,518回

13.5%

6件

2026年7月7日

4,657回

11.0%

17件

表示が増えるにつれて、クリック率は下がっていきました。表示が増えると、求人に強い関心を持つ人以外にも届くようになるため、率が下がることがあります。率だけを見て「悪くなった」と決めつけず、件数とあわせて見る必要があります。

自社の求人:開かれやすさと、応募されやすさは別

同じ7月7日時点(2026年1月1日からの累計)で、自社の3つの求人を並べると、次のとおりでした。

求人

表示回数

クリック率

開いた人の応募率

応募完了

事務スタッフ

11,530回

10.4%

3.7%

44件

コミュニティ運営

4,657回

11.0%

3.3%

17件

採用支援ディレクター

2,051回

16.4%

3.0%

10件

クリック率がいちばん高かったのは採用支援ディレクターの求人で、事務スタッフの求人は3つの中でいちばん低い結果でした。一方、開いた人の応募率は3.0〜3.7%で差が小さく、件数も10〜44件と少ないため、ここはまだ判断できません。クリック率が高い求人ほど応募されやすいとは限らないので、「響く」と「応募」は分けて見る必要があります。

支援先の求人:同じ会社でも、職種で数字が大きく違う

ある住宅設備・リフォームの会社で、同じ期間に出していた4つの求人の数字です(2026年1月1日〜7月7日の累計)。

求人

表示回数

クリック率

応募完了

事務スタッフ

4,784回

12.3%

15件

住宅設備の営業

889回

5.1%

2件

リフォームの営業

817回

4.2%

1件

太陽光・蓄電池の営業

522回

3.8%

0件

同じ会社の求人でも、事務スタッフと営業職では、クリック率に2.4〜3.2倍の差がありました。営業職の求人は表示回数も少なめでした。予算の配分が違う可能性もあるので、「見られる」段階については、予算と掲載期間を確かめたうえで判断します。会社全体の平均だけを見ていると、こうした職種ごとの違いを見落とします。

支援先の求人:開かれているのに、応募が始まらない

ある造園会社の3つの求人では、クリック率は10.9%〜22.4%でしたが、応募開始率(クリックから応募開始へ進んだ割合)は2.2%〜3.4%にとどまりました。応募開始は3求人で5〜13件と少ないものの、開かれているのに応募が始まらないので、「応募」の段階に課題がある可能性があります。応募を始めた人の4〜6割ほどは完了まで進んでいるため、まずは本文で不安に答える部分と、一覧で見えた内容と本文のずれから見直すのが先だと考えます。

支援先で出た、応募と採用の結果

ここからは、Indeed以外の経路も含む、支援の結果です。レガロニコが支援した企業で、成果が出た例の一部を並べます。期間、職種、地域、応募の経路は企業ごとに異なり、期間の記録がない例もあります。

業種

結果

小売

2週間で43件

内職

35件の応募から3名を採用

水産

15件の応募から1名を採用

ジム

3か月で26件の応募、3名を採用

社会保険労務士事務所

1か月で25件の応募

採用人数まで分かっている3社では、応募から採用に至ったのは7〜12%ほどで、1名の採用につき応募はおよそ9〜15件でした。ただし、これは成果が出た支援例の一部で、平均ではありません。会社も職種も違うので目安でしかありませんが、「何件の応募があれば1人採れそうか」を考える手がかりになります。この考え方は、次の章の逆算で使います。

実例から分かる、段階ごとの直し方

ここまでの実例を、段階ごとにまとめると次のようになります。

見えたこと

止まっている段階

次に直すこと

表示回数がもともと少ない

見られる

職種名、勤務地の設定、有料掲載の予算と期間

表示はあるが、クリック率が低い

響く

職種名、給与の見せ方、最初の数行

開かれているが、応募開始率が低い

応募

本文の不安に答える部分、一覧と本文のずれ、応募の手間

応募は始まるが、完了が少ない

応募

応募フォームの入力項目、スマホでの見やすさ

応募はあるが、採用につながらない

応募(面接・承諾)

連絡の速さ、面接までのやり取り、伝えた条件のずれ

入社しても続かない

定着

聞いていた話との違いを聞き、求人と面接に戻す

10. 採用マーケティングの進め方:小さく始める90日

小さく始める90日の進め方。1〜30日は数字を集めて止まっている段階を選ぶ、31〜60日は1つだけ直す、61〜90日は前の30日と比べて続けるか戻すかを決める

よく紹介される6つの手順と、90日の対応

採用マーケティングの進め方は、「自社分析→ペルソナ→キャンディデイトジャーニー→手段の選定→実行→効果の確認」の6つの手順で紹介されることが多くあります。この記事の90日の進め方に当てはめると、次のようになります。

よく紹介される手順

この記事でやること

時期

自社分析

今の数字と、直近に入社した人の様子を集める

1〜30日

ペルソナ

採りたい人を1人に絞って書き出す

1〜30日

キャンディデイトジャーニー

自社名で検索し、スマホで応募の画面まで進んでみて、求職者の流れをたどる

1〜30日

手段の選定

止まっている段階に効く手段を選ぶ

31〜60日

実行

その段階に効く手を、1つだけ打つ

31〜60日

効果の確認と改善

前の30日と比べ、続けるか戻すかを決める

61〜90日

1〜30日:今の数字を集め、止まっている段階を1つ選ぶ

求人ごとに、表示回数、クリック数、応募開始数、応募完了数を書き出します。直近に入社した人が続いているかも確かめます。4つの段階のうち、いちばん止まっている段階を1つだけ選びます。

最初の月は、比べる前の月がありません。その場合は上の段階から順に見ます。表示がほとんどなければ「見られる」、表示はあるのに開かれなければ「響く」、開かれているのに応募完了が少なければ「応募」です。求人が複数あれば、自社の求人どうしで比べます。4章のレガロニコの数字は合格ラインではありませんが、比べる材料の1つにしてかまいません。

31〜60日:その段階に効く手を、1つだけ打つ

たとえば、クリック率が低いなら職種名と最初の数行を、開いた人の応募率が低いなら本文の不安に答える部分を直します。一度にいくつも変えると、何が効いたのか分からなくなります。この30日の数字は、直した直後の様子見として記録だけしておきます。直すのは月の初めにすると、記録表の月ごとの行が、そのまま直す前と後の比較になります。

61〜90日:前と比べて、続けるか戻すかを決める

手を打つ前の30日(1〜30日)と、手を打ったあとの30日(61〜90日)の数字を比べます。良くなっていれば続け、次に止まっている段階へ進みます。変わらなければ別の手を試し、次の90日で同じ流れを繰り返します。表示や応募が少ない求人は、1回の比較で決めつけず、もう1か月様子を見ます。

必要な数字を、採用人数から逆算する

目標を決めるときは、採りたい人数から逆にたどると、どの段階の数字が足りないかが見えます。たとえば、1名を採るのに応募が10件必要だと仮定します(9章の支援例からの仮の値で、平均ではありません)。開いた人の応募率は、9章の自社の求人では3〜4%ほどでしたが、レガロニコの集計では、支援先の求人で1〜3%ほどのものもありました。3%なら必要なクリックは約330回、1%なら約1,000回です。クリック率が10%なら、必要な表示は約3,300〜10,000回になります。

自社の今の数字と比べて、表示が足りないのか、クリックが足りないのか、応募が足りないのかを見ると、直す段階が決まります。ここで使った数字は仮の値なので、自社の数字がたまってきたら、自社の実績に置き換えてください。

記録表の見本

数字と直したことは、1つの表にまとめておくと、前の月と比べやすくなります。表計算ソフトに、次のような列を作るだけで始められます。2行目は書き方の例で、数字は説明のための架空のものです。

月

求人名

表示回数

クリック数

クリック率

応募開始数

応募完了数

開いた人の応募率

面接数

採用数

直したこと

メモ

10月(記入例)

事務スタッフ

2,000

200

10.0%

12

6

3.0%

3

1

10月1日に職種名を変更

応募者から残業の質問あり

チェックリスト

  • 求人ごとに、表示回数・クリック数・応募開始数・応募完了数を書き出したか

  • 4つの段階のうち、止まっている段階を1つ選んだか

  • 採りたい人の人物像を、1人に絞って書き出したか

  • 自社名で検索し、スマホで応募の画面まで進んでみたか

  • 職種名が、求職者が検索する言葉になっているか

  • 給与が、他社と比べやすい形で書かれているか

  • 応募フォームの入力項目を、自社で設定できる範囲で見直したか

  • 応募があったときに、誰がいつまでに連絡するか決めたか

  • 入社後30日・60日・90日に、聞いていた話との違いを聞く予定を入れたか

  • 直したことと、その前後の数字を記録したか

11. 中小企業の採用マーケティングで、よくある失敗

媒体を増やすことから始めてしまう

応募が少ないと、まず媒体を増やしたくなります。しかし、すでに見られている求人で応募が止まっているなら、媒体を増やしても応募の率は良くならず、費用が増える割に効果が小さくなりやすくなります。先に、どの段階で止まっているかを確かめます。

一度にいくつも変えてしまう

職種名も給与の見せ方も写真も、一度に全部変えると、数字が動いても何が効いたのか分かりません。次の募集に生かせる学びが残らないので、1回に変えるのは1か所にします。

率だけを見て、件数を見ない

たとえば、表示が増えるとクリック率が下がっても、応募の件数は増えていることがあります。逆に、応募が数件しかない求人では、1件の違いで率が大きく動きます。率と件数を必ずセットで見ます。

応募のあとで止まっていることに気づかない

応募は来ているのに採用につながらない場合、連絡の遅れや面接日程の調整で止まっていることがあります。求人の数字だけでなく、応募のあと誰がいつ連絡したかも記録しておくと、止まっている場所に気づけます。

入社後のずれを見ない

応募が増えても、入社した人が早く辞めてしまえば、採用は続きません。入社後に聞いた「聞いていた話と違ったこと」は、次の求人を直すいちばんの材料です。

AIで作った原稿を、確かめずに出してしまう

AIは、集めた情報の整理や原稿のたたき台づくりに役立ちます。ただ、実際にはない制度や、事実と違う条件が混ざることがあります。出す前に、現場を知る人が、書かれていることがすべて事実か確かめるところまでを作業に含めます。

12. よくある質問と相談先

Q. 広告費をかけないと、採用マーケティングはできませんか?

できます。ハローワークや自社の採用ページでも、確認できる数字(応募数や問い合わせ数など)を月ごとに記録し、前の月と比べて直すことはできます。媒体によって確認できる数字は違うので、取れる数字だけでも続けることが大切です。広告費をかける場合も、まず求人の書き方や採用ページを整えてからの方が、費用を無駄にしにくいと考えています。

Q. 年に1〜2人しか採用しない会社でも、意味はありますか?

あります。採用人数が少ない会社ほど、1人の採用の失敗が重く響きます。数字が少ないぶん、率だけで判断せず、1人ひとりの応募と入社後の様子を記録していくことが大切です。

Q. 採用マーケティングと採用ブランディングの違いは?どちらから始める?

採用マーケティングは今の求人を数字で直す取り組み、採用ブランディングは会社の印象を時間をかけて育てる取り組みです。採用ブランディングは、成果が出るまでに時間がかかります。まずは今出している求人の数字を見て直す採用マーケティングから始め、そこで見えた自社の魅力を、採用ページやSNSで伝えていく順番がおすすめです。

Q. 数字は、どのくらいの頻度で見ればいいですか?

改善の判断は、まず月に1回が目安です。レガロニコでも、現在は月に1回Indeedの数字をまとめて取得しています。毎日の上下で判断すると、小さな変化に振り回されやすくなります。ただし、応募への連絡や、有料掲載の予算の確認は別に日々行います。

Q. どのくらいで変化が見えますか?

直す内容によって違います。勤務地の設定の誤りや応募先の不具合のように、直せばすぐ分かるものもあります。一方、職種名や本文の伝え方を変えた場合は、変えたあとに一定の表示と応募が集まるまで判断できません。この記事では90日を1回の区切りにしていますが、表示や応募が少ない求人は、1回の比較で決めつけずに続けて見ます。

Q. 自社でやるか、外部に頼むか、どう決めればいいですか?

誰を採りたいか、自社の何を伝えるかは、会社が決めることです。一方、数字の集計、原稿の作成、媒体の設定といった作業に時間が取れない場合は、外部に頼むのも一つの方法です。任せる場合も、段階ごとの数字を毎月共有してもらい、どこを直したのかが自社に残るようにしておくと、次の募集に生かせます。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

採用マーケティングに決まった料金はありません。使う媒体、原稿や写真、採用ページの準備、外部に任せる範囲によって変わります。見積もりを比べるときは、広告費、制作費、運用を任せる費用を分けて確かめます。社内で取材や記録をする時間も、費用の一部として考えておきます。

Q. Indeed以外の媒体でも、同じ見方でいいですか?

はい。媒体によって数字の名前や確認できる範囲は違いますが、「表示(見られる)→開かれる(響く)→応募(応募)→入社後(定着)」の段階に当てはめて考えられます。媒体ごとに取れる数字を確かめ、同じ表に記録しておくと、媒体どうしの違いも見えてきます。表示回数が分からない媒体なら、応募数と問い合わせ数だけでも月ごとに残します。

Q. 求人票と採用ページ、どちらから直すべきですか?

止まっている段階で決めます。求人が開かれない、開かれても応募が始まらないなら、まず求人票です。求職者が最初に読むのは求人票だからです。応募はあるのに面接の辞退が多い、入社後に「思っていた会社と違う」と言われるなら、会社の様子や社員の声を伝える採用ページを整える価値が高くなります。どちらも、直す前と後の数字を比べられるようにしておきます。

採用マーケティングを相談したいときは

自社だけで数字を集めて直すのが難しい場合は、外部の力を借りるのも一つの方法です。レガロニコの「求人解決AI」は、採用代行サービスです。経営者への深掘りインタビュー、全社員アンケート、社員インタビューをもとに求人票を作り、掲載設定から運用のスタートまでをまとめて代行します。レガロニコ自身の採用でも、Indeedだけで2026年1月1日〜7月7日に279件の応募がありました(4章の数字)。ご相談は無料です(求人解決AIのサービスページ)。

※2章の有効求人倍率は、厚生労働省の公表値です。2章・4章・9章のIndeedの数字は、レガロニコがIndeedの管理画面から取得した2026年1月1日〜7月7日の累計です。ただし、9章の推移の表のうち5月29日・6月6日は、計測方法を整える前に取得した一部のデータです。9章の支援先の結果はレガロニコの支援記録で、期間や職種は企業ごとに異なります。職種・地域・時期によって大きく変わるため、目安としてご覧ください。

この記事を書いた人

米森良偉の写真

株式会社レガロニコ 代表取締役

米森良偉

2018年よりWeb制作会社で、集客や採用のマーケティング支援に携わる。2021年に「Regalonico」を創業し、2022年に株式会社Regalonicoを設立。静岡を拠点に、中小企業の「人が足りない」を解決するため、採用支援サービス「求人解決AI」、採用サイト・ホームページ制作を行っている。これまで300社以上の中小企業を支援。

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