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人手不足の対策|原因の見分け方と中小企業が進める順番

人手不足の対策|原因の見分け方と中小企業が進める順番

中小企業向け 人手不足の対策は「どこで足りないか」で選ぶ。採用の入口・採用の途中・定着・業務量の4つ

「求人を出しても応募が来ない。どうすれば人が集まるのかわからない」「やっと採用できたのに、半年で辞めてしまった」「人は足りているはずなのに、毎日残業が続いている」。静岡の中小企業の経営者の方から、こうしたご相談を多くいただきます。

人手不足が深刻な会社ほど、すぐに効く対策を探しがちです。ただ、同じ「人手不足」でも、起きている場所は会社によって違います。応募が来ないのか、応募はあるのに採用まで進まないのか、採用しても辞めてしまうのか、そもそも仕事の量が人数に合っていないのか。場所が違えば、効く対策も変わります。

よくある「人手不足の対策10選」を上から順に試すと、お金と時間をかけたのに変わらない、ということが起こりがちです。この記事では、静岡の中小企業の採用を支援しているレガロニコが、厚生労働省と内閣府の分析や採用の専門書をもとに、次の3つをまとめました。

  • 自社の人手不足がどこで起きているかを見分ける方法

  • 場所ごとの対策

  • 少ない人手で進めるための順番(1週間・1か月・3か月)

1. 人手不足の対策は「採用・定着・業務量」の3つに分けて考える

人手不足の対策は、大きく次の3つに分けられます。

分類

何をするか

例

採用

入ってくる人を増やす

求人の見直し、採用サイト、紹介制度

定着

辞める人を減らす

入社後の受け入れ、相談できる体制、労働時間の見直し

業務量

少ない人数でも回るようにする

仕事の棚卸し、マニュアル化、外部委託、ITツール

リクルートワークス研究所も、中小企業の人手不足への対応策を「採用強化と定着促進、生産性向上の組み合わせ」と整理しています。

ここで大事なのは、3つのうちどれに力を入れるべきかが会社によって違うことです。そのヒントになるのが、公的な調査の結果です。

人手不足が続く背景

厚生労働省の分析は、日本では「長期かつ粘着的な人手不足」が生じており、幅広い産業・職業・地域で働き手の供給が足りない状態だとしています。内閣府の報告でも、「採用活動をしても応募が少ない」と答えた企業が7割程度と最も多く、「応募はあるが、より良い条件の他社へ流れる」「採用しても短期間で退職してしまう」と答えた企業も4割程度と、コロナ禍の前より大きく増えています。人手不足は一時的な問題ではなく、今後も続く前提で対策を考える必要があります。

人手が足りている事業所は、辞める人が少ない(小売・サービス分野の調査)

厚生労働省の「令和6年版 労働経済の分析」は、小売・サービス分野の事業所への調査をもとに、人手が足りている事業所と足りていない事業所を比べています。

  • 人手が足りていない事業所は、入ってくる人も多いが、辞める人も多い

  • 人手が足りている事業所は、正社員の「離職者がいない」割合が25%ポイント近く高い

そのうえで、人手不足の解消には「入職率をあげること以上に、労働者が定着するような環境づくり等を通じて、人材の定着を図ることが重要」とまとめています。

介護分野の分析でも、離職率は15%程度で、そのうち1年以内に辞める人が3〜4割程度を占めるとされています。さらに介護分野では、採用を増やしても教育や研修の時間を十分に取れず、人が定着しないまま人手不足感が強まり、また辞める人が出る、という悪循環になっている可能性が指摘されています。業種は違っても、自社に同じ流れが起きていないかを確かめる価値はあります。

内閣府の「令和6年度 年次経済財政報告」でも、大中堅企業が新しい人材の獲得に力を入れるのに対し、中小企業では既存の従業員の引き留めを最優先の課題としている様子がうかがえる、とされています。

採用だけに目を向けると、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けることになりかねません。まずは、自社でどこから人が抜けているのかを確かめましょう。

2. 自社の人手不足がどこで起きているかを確かめる

確認する5つの数字

直近1年分について、次の数字を数えてみてください。完璧な集計でなくてかまいません。求人媒体の管理画面、応募メール、退職者の記録など、手元にあるもので十分です。

  1. 求人の閲覧数(求人媒体の管理画面で確認できる場合。ハローワークなど閲覧数が出ない場合は、掲載先ごとの応募数で代わりに見ます)

  2. 応募数(求人ごと・月ごと)

  3. 面接まで進んだ人数

  4. 内定を出した人数と、承諾した人数

  5. 入社して1年以内に辞めた人数

  6. 今いる社員の残業時間と、年間休日

数字の読み方(架空の例)

たとえば、ある会社の直近1年が次のようだったとします(説明のための架空の数字です)。

項目

人数

応募

40人

面接

12人

内定

6人(うち承諾 3人)

入社後1年以内に退職

2人

この場合、応募は来ていますが、面接に進むのは40人中12人です。さらに内定を出しても半分が辞退し、入社した3人のうち2人が1年以内に辞めています。人手不足の原因は「応募が来ないこと」ではなく、応募から面接までの対応、内定後のやりとり、入社後の受け入れの3か所にあると考えられます。

このように、前の段階から次の段階に進む人数の割合を見ると、どこで人が抜けているかがわかります。何割なら良いという目安は業種や掲載先で違うため、同じ会社の求人どうしや、前の年の同じ時期と比べて、落ち込みが大きい段階を探してください。

数字が取れない項目があれば、それ自体が「見えていない場所」です。たとえば応募数がわからない会社は、どの求人が反応されているのかも判断できません。まず記録を始めることが最初の対策になります。

症状から原因を見分ける早見表

5つの数字を見ると、人手不足がどこで起きているかがおおよそわかります。

人手が足りなくなる4つの場所(採用の入口・採用の途中・定着・業務量)と、それぞれで見直すこと

症状

起きている場所

先に読む章

応募がほとんど来ない

採用の入口

3章

応募はあるが、面接に来ない・内定を辞退される

採用の途中

4章

採用はできるが、1年以内に辞める人が多い

定着

5章

人数は足りているはずなのに、残業が減らない

業務量

6章

上のいくつかが重なっている

複数

5章(定着)から

複数の症状が重なっている場合は、定着から手をつけることをおすすめします。辞める人が減らないまま採用だけを増やすと、教える側・受け入れる側の負担が増え、さらに辞める人が出るおそれがあるからです(1章の介護分野の分析も参考にしてください)。

支援の現場で多い見落とし

『小さな会社の採用・育成・定着の教科書』(大園羅文、日本実業出版社)では、採用がうまくいかない会社の典型として、どんな人がほしいかを決めないまま、掲載先や採用方法を毎年変えて試すケースが挙げられています。何がよくて何が悪かったのかを後から確かめられないため、時間と費用だけが増えていく、という指摘です。

私たちが支援の現場で感じていることも同じです。「応募が来ない」というご相談でも、数字を見ると、求人は見られているのに応募の手前で止まっていることが少なくありません。この場合は掲載先を増やすより、求人の中身を見直す方が先です。新しい方法を試す前に、まず「どこで人が止まっているか」を確かめてください。

3. 応募が来ないときの対策

まず「見られていない」のか「見られているが選ばれない」のかを分ける

応募が来ないときは、最初に求人の閲覧数を見ます。

  • 閲覧が少ない:求人がそもそも探している人に届いていません。職種名の付け方、掲載先、掲載の時期を先に見直します(このあとの「求人を出す場所を見直す」へ)

  • 閲覧はあるが応募がない:求人を見た人が応募を決めきれていません。残業・休日・仕事内容の書き方を先に見直します

どちらの場合も、直したら2〜4週間後に閲覧数と応募数を見比べて、変化を確かめます。

求人の条件が、求職者にどう見えているかを確かめる

厚生労働省の同じ分析では、ハローワークのフルタイム求人について、条件ごとに求職者へ紹介された割合(被紹介割合。応募されやすさの目安)を調べています。

  • 単純に比べると、月給が高いほど紹介された割合が高くなる、というわけではない

  • 残業時間が月20時間を超えると紹介されにくくなる(月10〜20時間で40%程度だった割合が、20〜30時間で30%程度、30時間以上で20%程度まで下がる)

  • 年間休日が120日以上の求人では、紹介された割合が60〜70%程度と高い

  • ほかの条件をそろえて比べると、月給が高いこと、ボーナスがあること、完全週休二日はプラスに働き、残業があることはマイナスに働く

つまり、給与も大切ですが、求職者は残業や休日といった「働き方」もあわせて見て応募先を選んでいます。長時間労働の印象がある求人は、それだけで候補から外されやすくなります。すぐに給与を上げられなくても、次のような労働条件の伝え方は見直せます。

  • 残業時間を、実態に近い数字で書いているか(「残業少なめ」だけでは伝わりません)

  • 年間休日の日数と、休みの取り方(シフト制か、土日休みか)を書いているか

  • 有給休暇の取りやすさを、具体的に書けるか(例:昨年の平均取得日数)

条件をすぐに変えられないときに書き足すこと

実際の残業が多い、休日が少ないなど、すぐには変えられない条件もあります。その場合も、条件を隠したり、実際より良く書いたりすると、入社後のずれにつながります。条件はそのまま正確に書いたうえで、次のような判断材料を書き足します。

  • 繁忙期と閑散期で、残業や休みがどう違うか

  • 休みの取り方(連休が取れる時期、希望休の出し方)

  • 入社後に誰が教えるか、どの順番で覚えるか

  • 残業や休日を今後どう見直していく予定か(決まっている範囲で)

書き方の例(説明のための架空の例です):

修正前

修正後

残業

残業少なめ

月平均15時間(12月の繁忙期は25時間程度。1〜3月は月5時間程度)

休日

週休2日

年間休日105日(日曜・祝日のほか、土曜は月2回休み。夏と年末年始に5連休)

教え方

未経験歓迎・丁寧に指導

最初の1か月は先輩社員1人が隣について教えます。覚える順番は手順書にまとめています

あわせて、このあとの「採用する相手の幅を広げる」で紹介する短時間の勤務や、仕事を分けて任せる方法も検討できます。

仕事の中身を、入社後の1日が想像できるように書く

「未経験歓迎」「アットホームな職場」といった言葉は、どの求人にも書かれているため、読む人の印象に残りません。代わりに、次のような具体的な情報を入れます。

  • 朝から夕方までの仕事の流れ

  • 最初の1か月で覚えること、誰が教えるか

  • 一緒に働く人の人数や年代

  • その仕事で大変なこと(隠すと入社後の辞退や早期離職につながります)

求人を出す場所を見直す

同じ求人でも、載せる場所によって届く人が違います。求人媒体だけに頼っている場合は、自社の採用ページ、ハローワーク、社員からの紹介など、複数の入口を用意すると応募の機会が増えます。特に自社の採用ページは、求人媒体の文字数制限では伝えきれない仕事の様子や社員の声を載せられるため、応募前の不安を減らせます(参考:レガロニコの採用サイト制作)。

採用する相手の幅を広げる

厚生労働省の同じ分析は、働きたい人の数そのものを増やす余地についても触れています。

  • シニア(高齢者):2023年には、60〜64歳の就業率が70%を超え、65〜69歳も50%を超えて、この半世紀で最高の水準になった

  • 女性:59歳以下の女性のうち約100万人が、「出産・育児・介護・看護・家事のため」に、働いておらず働く希望もない状態にある。分析は、育児・介護などの負担を軽くする支援とあわせて、男性も家庭の責任を果たせるよう、柔軟な労働時間や休暇を取りやすくする職場づくりが重要としている

  • 外国人労働者:外国人の採用では、企業の多くが日本語の力を重視している。分析は、仕事の特性に応じて外国人に求める日本語の力を見直し、企業と働き手の認識のずれを解消していく必要があるとしている

ここからは私たちの考えですが、「フルタイムで働ける人」「経験者」だけを条件にしていると、応募できる人は限られます。短い時間から働ける勤務や、仕事を分けて任せる方法を用意すると、これまで応募の対象にならなかった人にも届きやすくなります。

条件だけでなく、会社・仕事・職場の面からも伝える

『求人募集をしても応募がない』(関根コウ、現代書林)では、求人で伝える内容を「会社」「仕事」「職場」「条件」の4つの面に分けて考える方法が紹介されています。反応の少ない求人ほど、給与や休日などの条件の説明に偏りやすい、という指摘です。どんな会社で、どんな意味のある仕事を、どんな人たちと一緒にするのかが書かれていると、条件だけでは伝わらない魅力が届きます。

また、2章で紹介した大園氏の本では、求人媒体の担当者が作った原稿をそのまま使ったり、昔の原稿を使い回したりせず、自社の言葉で定期的に更新することの大切さが述べられています。

私たちが支援でよく見るのは、タイトルと本文で印象がずれているケースです。タイトルで興味を持って開いた人が、本文を読んで「思っていたのと違う」と感じ、応募をやめてしまいます。勤務日数や時間の条件を少し広げるだけで、応募できる人の層が変わることもあります。

4. 応募はあるのに採用できないときの対策

応募があるのに採用まで進まない場合は、まず応募した人がどこで止まったかを分けて数えます。

分け方

多いときに見直すこと

会社が書類で見送った

求める条件が求人に書かれていない。必須の条件を求人に明記し、3章で応募者とのずれを直す

返信や日程調整の途中で連絡が途絶えた

最初の返信までの日数。翌営業日までに返し、最初の連絡で面接の候補日を3つほど示す

面接を辞退された・内定を辞退された

面接で伝えている内容と、内定から入社までの連絡

原因が応募から内定までの「やりとり」にある場合は、次の4つを見直します。

応募への返信を早くする

内閣府の報告でも、「応募はあるが、より良い条件の他社へ流れる」と答えた企業が4割程度ありました。中途採用でも若手の新卒採用でも、応募した人が同時に複数の会社に応募していることは珍しくありません。返信が遅れるほど、ほかの会社で先に面接が決まってしまいます。応募から最初の連絡までに何日かかっているかを確認し、できれば当日か翌営業日に返信できる体制を作りましょう。担当者が忙しい場合は、日程調整だけでも別の人や仕組みに任せると改善しやすい部分です。

面接では「見極める」だけでなく「伝える」

面接は会社が応募者を選ぶ場であると同時に、応募者が会社を選ぶ場でもあります。仕事の大変なところも含めて正直に伝え、質問に答える時間を取ると、入社後の「思っていたのと違う」を減らせます。

採用の基準を、社内でそろえる

社長と現場の責任者で「ほしい人」がずれていると、面接のたびに判断が分かれ、内定が出せないまま時間が過ぎます。最低限必要な条件と、あればうれしい条件を分けて書き出し、面接する人の間でそろえておきましょう。

内定を出してから入社までの連絡を絶やさない

内定を出したあと、入社日まで連絡が途絶えると、応募者は不安になり、ほかの会社の内定と比べ始めます。内定の連絡では、入社日までの予定(書類の提出、入社前の顔合わせなど)と、困ったときの連絡先を伝えます。入社前に、一緒に働く人と会う機会を一度つくるのも効果があります。

応募直後の対応を、前もって決めておく

3章で紹介した関根氏の本でも、応募があったら相手の関心が冷めないうちに、メールだけでなく電話も使って早めに連絡することが勧められています。

応募後の対応は、仕組みがないと担当者の忙しさに左右されます。私たちは、最初の返信の文面と、面接日程の決め方を前もって決めておくことをおすすめしています。誰が対応しても同じ速さ・同じ内容で返せる状態にしておくと、忙しい時期でも応募者を待たせずに済みます。

5. 採用しても辞めてしまうときの対策

1章で見たとおり、人手不足を解消するうえで重要とされているのが、辞める人を減らすことです。

入社前の説明と、入社後の実際をそろえる

早い時期に辞める理由の一つに、「聞いていた話と違った」というずれがあります。求人や面接で伝えた内容(仕事の中身、残業、休日、給与の上がり方、福利厚生)と、実際の働き方がずれていないかを確認しましょう。辞めた人がいる場合は、退職の理由を聞ける範囲で聞き、同じずれが続いていないかを見直します。

退職の理由を聞くときは、責める聞き方にならないように、たとえば次のような質問から始めると答えてもらいやすくなります。

  • 入社前に聞いていた話と、実際に違っていたことはありましたか

  • 仕事を覚えるうえで、困ったことは何でしたか

  • 何が変わっていれば、続けられたと思いますか

本人が言いにくい場合は、直属の上司ではない人が聞く、紙やフォームで答えてもらう、といった方法もあります。

最初の3か月の受け入れ方を決めておく

厚生労働省の分析では、介護の現場で、採用を増やしても教育の時間を確保できずに人が定着しない悪循環の可能性が指摘されていました。新しく入った人が「誰に聞けばいいか」「いつまでに何を覚えればいいか」がわかるように、次のことを決めておくと定着しやすくなります。

  • 教える担当者(先輩社員)を1人決める

  • 最初の1週間・1か月・3か月で覚えることを書き出す

  • 1か月目と3か月目に、困っていることを聞く面談の時間を取る

受け入れの仕組みは、そのまま人材育成の仕組みにもなります。教える内容と順番が決まっていれば、教える側の負担も減ります。

最初の3か月の受け入れの流れ。内定から入社日、入社初日、1週間から1か月、3か月目にそれぞれやること

相談できる体制と、働き方を見直す

同じ分析では、介護事業所の人手不足の緩和に、賃金のほか「相談体制の整備」や「ICT機器の整備」が効果的とされています(ただし、人手不足の程度によって効く対策は異なるとされています)。小売・サービス分野でも、まずは今働いている人の流出を防ぐことが効果的で、着実な賃上げ、時間外労働の削減、有給休暇を取りやすい職場づくりが重要とされています。

長く働いてもらうには、何をすれば評価され、給与や役割がどう変わっていくのか(人事評価やキャリアの道筋)が見えることも大切です。小さな会社でも、「1年後にはこの仕事を任せたい」と伝えるだけで、働く人の見通しは変わります。

すべてを一度に変えるのは難しくても、「困ったときに誰に相談すればいいか決まっている」「残業が多い人を把握している」といった状態は、費用をかけずに作れます。

辞めやすい時期に声をかけ、育て方を現場任せにしない

関根氏の本では、入社の前日から入社3か月目までの間に、辞める気持ちが生まれやすい時期がいくつかあるとして、その時期に短い面談や声かけをすることが勧められています。特に入社初日は、新しく入った人の緊張がいちばん強い日です。

大園氏の本では、新人教育を配属先の上司に任せきりにすると、上司によって育ち方に差が出て、離職につながると指摘されています。会社として、新人に何をいつまでに覚えてほしいかを決めておくことが大切だ、という考え方です。

私たちも、内定から入社までの間に定期的に連絡を取ることを大切にしています。入社初日に誰が迎えるかを決めておくだけでも、新しく入る人の不安は小さくなります。

6. 人を増やさずに仕事を回す対策

採用と定着に取り組んでも、すぐに人が増えるとは限りません。並行して、今の人数でも仕事が回るようにすることが大切です。

仕事を書き出して、やめる・まとめる・任せるを決める

まず、1日の仕事を担当者ごとに書き出します。そのうえで、次の3つに分けます。

仕事を書き出して、やめる・まとめる・任せるの3つに仕分ける図
  • やめる:誰も使っていない資料作り、重複している確認作業など

  • まとめる:毎回同じ手順の作業は、手順書やひな形にする

  • 任せる:社内の別の人、外部への委託(アウトソーシング)、パートやスポットの人材に任せる

手順書(マニュアル)があると、教える時間が減り、新しく入った人も早く仕事を覚えられます。これは5章の定着にもつながります。

『人材不足をこの1冊で解決 採用の強化書』(宮本宗浩、KADOKAWA)では、社員へのアンケートで職場の課題を見える化することや、業務の流れを図や手順書にして知識を社内にためることが、生産性と定着の両方につながると紹介されています。仕事を書き出すときに、働いている人に「時間がかかっている作業」「やりにくいと感じる点」を聞いてみると、社長や管理職からは見えていなかった無駄が見つかることがあります。

ITツールやDXは「時間がかかっている作業」から選ぶ

内閣府の「令和6年度 年次経済財政報告」によると、5年前と比べて省力化投資を増やした企業の割合は、どの企業規模・業種でも5割程度以上でした。増やした内容としては、製造業・非製造業ともに7割超の企業が「WEB・IT関連のソフトやシステムの導入」を挙げています。中小企業では、ソフトウェアの導入が省力化投資の中心になっている可能性も示されています。

ただし、ツールを入れること自体が目的になると、使われないまま費用だけがかかります。業務効率化は、書き出した仕事の中で「毎週何時間もかかっている作業」から順に、ITツールや自動化で置き換えられるものを探すのが確実です。作業時間のデータを1週間分だけでも取っておくと、導入後に効果を比べられます。勤怠や給与の計算、日程調整、問い合わせへの一次回答などは、取り組みやすい例です。

採用の仕事そのものを外部に任せる

中小企業では、社長や総務の担当者が本業と兼務で採用を担当していることが少なくありません。求人原稿の作成、応募者への連絡、面接の日程調整など、採用に関わる作業の一部を外部に任せる「採用代行」という方法もあります。自社で判断すべきこと(誰を採るか)は残し、作業を任せるのが基本です。

7. 1週間・1か月・3か月で進める順番

少ない人手で進めるために、取り組む順番を時期ごとに整理しました。

少ない人手で進める順番。最初の1週間、1か月以内、3か月以内、その後にやることとねらい

時期

やること

ねらい

最初の1週間

2章の5つの数字を集める/辞めた人の理由を書き出す

どこで人が足りなくなっているかを知る

1か月以内

求人の残業・休日・仕事内容の書き方を直す/応募への返信を早くする/受け入れの担当者を決める

費用をかけずにできる改善を先に終わらせる

3か月以内

仕事の書き出しとマニュアル化/入社1か月・3か月の面談/採用ページや外部委託の検討

定着と業務量の仕組みを作る

その後

5つの数字を毎月見て、効果を確かめる

効いた対策を続け、効かない対策をやめる

ポイントは、最初の1週間で「数字を見る」ことです。対策を選ぶ前に現状がわかっていれば、何が効いたのかも後から確かめられます。

8. 自社だけで進めるのが難しいときの相談先

人手不足の対策は、社内で進められることも多くあります。一方で、次のような場合は外部に相談したほうが早く進むこともあります。

  • 採用を担当する人が本業と兼務で、時間が取れない

  • 求人を何度出しても応募が来ず、何を変えればよいかわからない

  • 辞める人が続いていて、原因を社内だけで話し合うのが難しい

公的な相談先としては、最寄りのハローワークで求人の出し方や条件の相談ができます。

レガロニコの「求人解決AI」は、静岡の中小企業のための採用代行サービスです。求職者に知ってもらう段階から、応募・選考・入社後の定着までを、採用の仕組みとして一緒に作ります。ご相談は無料で、サービスページのフォームから受け付けています。

9. よくある質問

Q. 人手不足の対策は、まず何から始めればいいですか?

まず、2章の5つの数字(応募数、面接まで進んだ人数、内定と承諾、1年以内の離職、残業と休日)を集めてください。どこで人が抜けているかがわかれば、優先する対策が決まります。症状がいくつも重なっている場合は、辞める人を減らす「定着」から始めることをおすすめします。

Q. お金をかけずにできる人手不足の対策はありますか?

あります。求人に残業時間と年間休日を具体的に書く、応募への返信を早くする、入社した人の教える担当を決める、仕事を書き出して手順書を作る、といったことは費用をかけずに始められます。

Q. 給与を上げないと人は集まりませんか?

給与は大切な条件です。厚生労働省の分析(ハローワークのフルタイム求人)でも、ほかの条件をそろえて比べると、月給が高いことは紹介されやすさにプラスに働いていました。一方で、完全週休二日やボーナスの有無もプラスに、残業があることはマイナスに働いていました。給与をすぐに上げられない場合でも、残業と休日の条件を見直し、求人に正確に書くことには意味があります。

10. まとめ

  • 人手不足の対策は「採用・定着・業務量」の3つに分けて考える

  • 公的な分析では、小売・サービス分野で人手が足りている事業所ほど正社員の離職が少なく、中小企業では新しい人材の獲得より今いる人の引き留めを重視する様子がみられる

  • まず5つの数字(応募数、面接人数、内定と承諾、1年以内の離職、残業と休日)を集め、どこで人が足りなくなっているかを確かめる

  • 症状が重なっているときは、定着から手をつける

  • 1週間で現状を知り、1か月で費用のかからない改善を終わらせ、3か月で仕組みを作る

人手不足は、一度の対策で解決するものではありません。数字を見て、効いたことを続け、効かないことをやめる。この繰り返しが、少ない人手でも続けやすい進め方です。

採用のお悩みは、レガロニコにご相談ください

人が集まらない理由がわからない、何から手をつければいいかわからない。そんな段階でもかまいません。レガロニコは、静岡の中小企業の採用を、求人の見直しから応募対応・定着まで一緒に考えます。ご相談は無料です。

求人解決AIのサービスページを見る

出典

参考にした書籍

  • 関根コウ『求人募集をしても応募がない 採用できない会社に欲しい人材が集まる方法』現代書林

  • 大園羅文『小さな会社の採用・育成・定着の教科書』日本実業出版社

  • 宮本宗浩『人材不足をこの1冊で解決 採用の強化書』KADOKAWA

この記事を書いた人

米森良偉の写真

株式会社レガロニコ 代表取締役

米森良偉

2018年よりWeb制作会社で、集客や採用のマーケティング支援に携わる。2021年に「Regalonico」を創業し、2022年に株式会社Regalonicoを設立。静岡を拠点に、中小企業の「人が足りない」を解決するため、採用支援サービス「求人解決AI」、採用サイト・ホームページ制作を行っている。これまで300社以上の中小企業を支援。

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